肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

進行がん患者と家族の食に対する苦悩への緩和ケアと栄養サポート

 

進行がん患者                                      

家族

がん悪液質

食に関する苦悩

栄養サポート  

            PalliatCare Res 2018.13(2:169-74

大阪市総合医療センター緩和医療科 天野先生、

聖隷三方原病院 緩和支持治療科森田先生 

日本緩和医療学会 後悔講座 原書より(1)

つたない要約でお許しください。 

 

 がん悪液質とは 

その病態は食欲不振と代謝障害の連動によって引き起こされる。進行度分類は3種類 pre-cachcxia,cachcxia(6か月以内に5%以上の体重減少or2%以上の体重減少),refractory cachexia(cachexia+代謝の異化有意・治療抵抗性・WHOPS3~4・予後予測3か月未満) がん悪液質の本態は全身性の慢性炎症(炎症性サイトカインとCRPが重要)である.

 

患者の食に関する苦悩へのがん悪液質の影響 

 患者の苦悩の原因は「がん悪液質についての理解不足(教えてくれない)」「体重増加を試みた失敗体験」「死の予兆としての認識」があげられる。患者のアンケート調査(n=1702)では、76%が緩和ケアスタッフにがん悪液質の栄養法についての専門的知識をもとめ、そのうちの過半数が食に関する苦悩の傾聴と食欲不振・体重減少についての医学的説明を望んだ。患者の満たされない思いは苦悩に繋がるのだろう

 

家族の食に関する苦悩へのがん悪液質の影響

がん悪液質は患者だけでなく彼らを支える家族へも影響を及ぼす。とくに患者の食欲不振が顕著になり体重減少が始まったとき家族の苦悩も増強する。家族の苦悩は「患者の世話における責任」から始まり「医療スタッフへの要望」が満たされず「患者との衝突」という形になって現れる。 

 

進行がん患者と家族の食に関する苦悩への緩和ケアと栄養サポート

傾聴・共感・支持を基本としたケアと適切な情報提供、栄養サポート(栄養カウンセリング・食事の工夫・栄養補助食品・点滴での栄養水分補給)は、がん悪液質にによる患者と家族の苦悩を軽減する。 がん悪液質は複合的症候群であるので栄養サポート・運動療法薬物療法の組み合わせた集学的治療が必要であるが refractory cachcxia にまで至れば治療の適応はもはやなく、患者・家族の苦悩は最大になるだろう。患者と家族の状況にあった緩和ケアと栄養サポートが求められる。しかし、この研究の知見はまだまだ十分ではなく今後のさらなる研究に期待する。          以上です

 

 

現場をほとんど知らない私が論文だけ拾って意見を述べるのは僭越ですが、食事は1日3回もあります。毎日毎回の苦悩は苦しい。苦悩を取り除くことが緩和医療・ケアの本質ではないかと思います。

 

また緩和医療薬学会にも学会誌のブログ掲載の許可を得ましたので薬剤師の視点からみた論文も記事にしたいと思います。

宜しくお願い致します

                              ぴのこ拝

 

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