肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

緩和ケアチームの支援により難治性神経障害性疼痛にメサドンが有効であった1例

 山田正実(1)(2)(3)千丸裕美(2)、渡邊美貴(1)、松村千佳子(1)(2)(3)、鎌田実(1)、高橋一栄(2)

(1)大阪府済生会野江病院緩和ケアチーム(2)大阪府済生会野江病院薬剤科(3)京都薬科大学臨床薬学教育研究センター

                       (2017年10月22日受理)

日本緩和医療薬学会 雑誌【短報」より

 

A Case Report Regarding the Efficacy of Methadone for the Treatment of Severe Neuropathic Cancer Pain with Supportive Care by a Palliative Care Team

            

Abstract: We herein report a case in which refractory neuropathic cancer pain, which could not be relieved by high-dose intravenous morphine,improved after administering methadone.The pain relief was probably achieved due to the effect of methadone,besides an opioid receptor-mediated effect,an additional effect on N-methyl-D-aspartate receptor and Serotonin and Norepinephrine reuptake inhibitor.This case suggested that methadone may be a viable choice for the treatment of refractory and neuropathic pain.     

Key Word:methadone,neuropathicpain,opioid switching

 

僭越ながら抜粋させて頂きます。

 

緒言:メサドンはNMDA受容体拮抗作用、セロトニンノルアドレナリン再取り込み作用により、神経障害性疼痛にも有用であるとの報告がある。しかし、他の強オピオイド鎮痛薬からの切り替えにおいて、投与量は個々の患者で大幅に異なり、オピオイドスイッチングは慎重に行う必要がある(呼吸抑制、QT延長症候群の報告あり)臨床医だけでなく、薬剤師もメサドンの特性を理解する必要がある。

  モルヒネ持続注射から(プレバガリン継続併用)メサドンへの切り替えに緩和ケアチームが深くかかわり、患者の思いに寄り添いながら、肝がん骨転移による頸椎障害性疼痛の強い神経障害性疼痛の緩和を得ることができた。

治療効果、副作用の確認は 体性痛:NRS(Numerical Rating Scale) 副作用:STAS-J(Support Team Assessment Schedule 日本語版)で行った。

結語:骨転移による神経障害性疼痛は、今日オピオイド鎮痛薬を使用しても改善が難しい症状の一つである。本症例のように急激に進行した難治性の神経障害性疼痛に対してメサドンは、緩和ケアチームの関わりのもとに有効な治療法の一つとなりうると考えられた。

                                以上です

 

 これから、在宅医療に病院チームが参画してくることが予想されています。病院は内循環する組織なのかなと以前から思っている私ですが、日本の高度先進医療の担い手であることは疑いようもなく、保険薬局(一部大病院門前を除く)の知識ではついていけないことが多々あると思います。何かテーマを絞って深く狭く日々勉強していくしかないのかなあ、ジェネラルに広く浅くクスリの知識を持っているほうがいいのかなあと迷うわたくしですが、今は医療費節約という社会ニーズに合わせて学ぶしかないなあと思っています。

 

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