肺がんになった薬剤師(ぴのこ)が緩和医療を学ぶ

所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

がん患者を対象にした緩和ケア情報共有ツールを用いたシームレスな地域連携の試み

友松裕子(1)(2)、井戸智子(1)(3)、壁谷めぐみ(3)(4)、湯浅周(4)、古賀千秋(2)(3)(5)、長尾清治(3)、太田信吉(6)、伊奈研次(2)(3)(7)

名古屋記念病院(1)医療社会相談室(2)がん相談支援センター(3)緩和ケアチーム(4)薬剤部(5)看護部(7)化学療法科、愛知国際病院(6)外科

日本緩和医療学会 後悔論文 活動報告より(2)

 

余命が限られているがん患者にとっては、終末期を過ごす療養の場所を適切に選択することは極めて重要である。地域の緩和ケアに関わっている医療スタッフとの連携を深めるために、東名古屋在宅医療懇話会を組織し、緩和ケア情報共有ツールを作成した。緩和ケア情報シートを用いて当院から紹介した35例のうち、25例が慢性期病院に転院し、10例は在宅医療を受けた。死亡場所の内訳は、緩和ケア病棟が23人、自宅が6人、当院が4人であった。紹介先スタッフを対象とした質問紙を用いた調査を行ったところ、緩和ケア情報共有ツールの導入は、患者の予後や患者・家族の病識と説明内容に対する理解度合い、医療や予後に対する考えに関する情報を得ることに繋がり、緩和医療の質向上に有用であることが示された。本活動は、シームレスな緩和ケアの実現に貢献し、地域の医療スタッフが責任を分担して最適な緩和ケアを提供することを促進すると考えられた。

Palliat Care Res 2018:13(2):163-67 

Key Words:シームレスな緩和ケア、地域連携、情報共有ツール、在宅医療懇話会

 

勉強のために英訳も載せておきます。

Trial of Seamless Regional Cooperation in Palliative Care of Cancer Patients Using Communication Tools of Cooperation

 Regional cooperation in palliative medicine involves multidisciplinary team care.It is very important for cancer patients to choose an appropriate place of stay during their end-of-life period. As the Nagoya Memorial Hospital does not  have a palliative care ward, collaborating with other facilities offering palliative care and home care becomes pivotal. Therefore the Higashi-Nagoya home care social gathering was organized to improve communication and cooperation among regional health care professionals.Through discussions during this social gathering,the communication tools for cooperation in palliative care were outlined in November,2015. We reviewed the outcome of 35 patients referred from our hospital using the communication tools for cooperation in palliative care: 25 patients were referred to chronic care hospitals including palliative care facilities, and 10 patients received palliative care at home; 23 died in the palliative care ward, 6 died at home,and 4 died at our hospital.A questionnaire survey conducted among the community health care professionals revealed that the introduction of this tool would be useful in providing accurate information on the prognosis of patients,level of understanding between the patients and their family,and patients' views on life and death. Using the communication tool for communication would contribute to realizing seamless palliative care in the region surrounding our hospital,which would in turn lead to local team work and shared responsibilities to provide optimal palliative care.

Palliat Care Res 2018;13(2):163-67

KIey words:seamless palliative care,regional cooperation,communication tools for cooperation,home care social gathering

 

方法 緩和ケア情報共有ツール

 ①打診時・・緩和ケア打診シート(MSW)

 ②退院時・・緩和ケア情報シート*(医師、薬剤師、セラピスト、MSW 緩和ケアチーム)、診療情報提供書(医師)看護サマリ(看護師)

*緩和ケア情報シート

  医師 医療情報、予後予測〔Palliative Prognotic Index(PPI):生命予後の評価に用いられる基準:例)経口摂取、浮腫、安静時の呼吸困難、せん妄の有無等をチェック項目にし自動的にスコアが計算され6.5以上は予後が3週間未満となる可能性が高いと表示されるしくみを設計〕、疼痛管理(チェック方式)、身体・精神状況、日常生活自立度、病状・予後についての医師からの説明内容

  MSW 担当医からの説明に対する患者・家族の理解度を確認          

  薬剤師 麻薬・鎮痛補助薬以外の服薬状況、点滴の内容、かかりつけ薬局の情報

  セラピスト リハビリの状況

  緩和ケアチーム 患者の状況を身体的、精神的な問題と分けて記載

結語 緩和ケア病棟のない当院が、東名古屋在宅医療懇話会を組織し、「顔が見える」双方向性の地域連携をめざした。情報共有ツールを活用して地域の医療スタッフ間で患者についての情報を共有することは、多職種のチームワークを促し、各自が責任を持って最適な緩和医療を提供するのに役立つことが示唆された。

                             以上です。

 

名古屋記念病院の方々の退院時の連携についての素晴らしい取り組みですが、転載していて、病院の医師の退院時の書類量の多さに驚き、どんどんチェックシート化して簡便になったら良いな、疼痛管理等は薬剤師も参画できるのでは?と思いました。チェックシート等の図表の公開は、許可を得てということで、つたない文で申し訳ありません。

 

 国保が市町村から都道府県に移り、地域別診療報酬が始まろうとしています。一地方の費用対効果の素晴らしい取り組みを都道府県は率先して採用していくことでしょう。保険薬局の薬剤師は日々調剤報酬に向き合っているので、地域別診療報酬にも敏感です。ちょっとした費用対効果の取り組みを保険薬局も発信できたらいいな、若い人頑張って!(他力本願)と思う毎日です。     

                    ぴのこ拝

 

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