肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

抗がん剤副作用対策 発疹

 EGFR阻害剤では、ざ瘡(にきび)様症状が、皮脂腺の多い頭皮、顔面、前胸部、背中に早期に発現します。EGFR投与開始後1週以降でざ瘡様皮疹が、約3~5週で皮膚乾燥を伴い、手の指先にひび割れを生じ、約8週で爪周囲炎が遅発的に現れるようになります。爪周囲炎は重症化すると大変つらく、日常生活への支障を伴います。

 

対策

・普段からの皮膚ケアとして、弱酸性の石鹸を使用し、微温湯で清潔にします。無香料の保湿クリームやローションを使用して保湿します。外出時は30分前には、SPF(Sun Protection Facter) 25以上の日焼け止めを塗布します。日焼け予防として長袖の衣服を着用し皮膚を保護します。

 

・体温が上昇する生活(サウナ、温浴、激しい運動)を控えます。

 

・重症化予防対策として、1%のヒドロコルチゾンを含む保湿液と日焼け止めを1日2回、治療開始から6週間塗布し、ドキシサイクリン(ビブラマイシン®)1回100mg、1日2回、またはミノサイクリン 1回100mg1日1回を治療開始から8週間服用します。

 

・発疹が改善しない場合、副腎皮質ステロイド外用薬の強さの変更を検討します。

 

・急速に発現する発疹に発熱が伴っている場合は、重篤な皮膚障害の可能性があるのですぐに医療機関を受診しましょう。

 

 

 普段医療機関で使われているざ瘡(にきび)様皮疹の重症度評価を載せておきます。

 

ざ瘡(にきび)様皮疹の重症度評価

 Grade 1 

 体表面積の<10%を占める紅色丘疹*および/または膿疱*で、搔痒感や圧痛の有無は問わない

Grade 2   

体表面積の10~30%を占める紅色丘疹および/または膿疱で、搔痒感や圧痛の有無は問わない

社会心理学的な影響を伴う

・身の回り以外日常生活動作の制限 

Grade 3   

体表面積の>30%を占める紅色丘疹 および/または膿疱で、搔痒感や圧痛の有無は問わない

・身の回りの日常生活動作の制限

経口抗菌薬を要する局所の重複感染 

Grade 4

・紅色丘疹および/または膿疱が体表のどの程度の面積を占めるかによらず、搔痒や圧痛の有無は問わないが、 静注抗菌薬を要する広範囲の局所の二次感染を伴う

・生命を脅かす

脚注 *丘疹(直径10mm以下の局限性隆起性変化)  

*膿疱(水泡の内容が膿性のものをいい、白色から黄色)

  

以上です。

がん薬物療法副作用管理マニュアルから抜粋しました。   ぴのこ拝

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