肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

がんの症状対策 リンパ浮腫

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原因と症状
 乳がん子宮がん・卵巣がん前立腺がんなどの手術後に起こる特有のむくみをリンパ浮腫と言います。脇の下にあるリンパ節を切除した場合には、手術した側の腕が反対の腕と比較して太くなります。骨盤内や足の付け根にあるリンパ節を切除した場合には、脚にむくみが見られます。足のリンパ浮腫の多くは片側であり、両側にみられる場合でも左右差があることがほとんどです。靴下やアクセサリーのあとが残りやすくなり、はれぼったい、重だるい、疲れやすい、と感じることもあります。

治療
 リンパ浮腫が起こる可能性が高い患者さんは予防ケアを行い、できるだけ発症を予防し、発症したときには早期に発見して重症化を予防することが大切です。主な治療はスキンケア、運動療法、圧迫療法、用手的リンパドレナージがあり、圧迫療法、用手的リンパドレナージは専門家が患者さんの状態を見て適切な治療法を判断します。<スキンケア>は発症前からすべての患者さんに必要な治療です。運動療法は体調に応じてウォーキングストレッチなど無理をしない程度に行いますが、むくみのある部位に、赤み、熱っぽさ、発疹、痛みなどの炎症兆候が見られるときはお休みします。

経過
 靴下や時計の跡が残りやすくなる程度の時には、むくみのある手や脚を挙上すると軽快します。この段階で適切な治療を行うことで、早期に回復し、良い状態を維持できる可能性が高いです。進行すると挙上しても浮腫が回復せず、皮膚が硬くなり、皮膚を押してもあとが残らなくなります。さらに進行すると、皮膚が乾燥しざらざらと硬くなることがあります。また、いずれの段階でも、蜂窩織炎やリンパ管炎などの炎症によって、リンパ浮腫が悪化することがあります。むくみのある部位に、赤み、熱っぽさ、発疹、痛みなどの炎症兆候がないか毎日チェックすることが大切です。

セルフケア
 皮下脂肪が増えるとむくみやすくなるので、体重管理が重要です。バランスの良い食事を取り、適度な運動を心掛けます。また、リンパ浮腫が起こる可能性のある部位の皮膚は傷つきやすくなっています。皮膚を清潔に保ち潤いを補う<スキンケア>と、外からの刺激をできるだけ減らす皮膚保護が大切です。また重いものを持つことはできるだけ避けましょう。
スキンケア
 低刺激性の石鹸をよく泡立て、泡で包み込むように手で優しく洗い、よくすすぎましょう。ナイロンタオルやスポンジは避けます。指の間は真菌感染が起こりやすいので、丁寧に洗いましょう。入浴後10分以内に保湿します。リンパ浮腫になりやすい部位の日焼けや虫刺されによる刺激を予防します。

こんな時は医療者に連絡を
リンパ浮腫のある部位に炎症兆候が見られ、38度以上の発熱があるとき
急激にむくみが強くなり、むくみのある腕や脚を挙げて安静にしても改善しないとき

以上です。

緩和ケア患者説明ガイド2017 メディカ出版より
ぴのこ拝

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