肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

在宅終末期がん患者に対する臨死期における 鎮静薬使用の実態と在宅療養期間への影響

今日は終末期臨死期における鎮静薬使用についてです。がんサバイバーとして臨死期なんて考えたくないところですが、お看取りするご家族のためにも紹介したいと思います。
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在宅終末期がん患者に対する臨死期における 鎮静薬使用の実態と在宅療養期間への影響


橋本孝太郎1),佐藤 一樹2,3),佐々木光晴4),高林 広明4),河原 正典4),
鈴木 雅夫1)
1)ふくしま在宅緩和ケアクリニック,2)名古屋大学大学院 医学系研究科 看護学専攻 基礎・臨床看護学講座,
3)東北大学大学院医学系研究科 緩和ケア看護学分野,4)爽秋会 岡部医院


【目的】在宅終末期がん患者に対する臨死期の鎮静薬の使用と,在宅療養期間との関連を明らかにする.

【方法】2013年 6〜11 月末までに在宅特化型診療所 17 施設の診療を受けたがん患者 1,032 名の診療録調査から自宅死亡前 48時間以内に使用した鎮静薬を調べ,鎮静薬使用群と不使用群に分けて,在宅療養期間を比較した.

【結果】使用された鎮静薬はジアゼパム(n, %:100, 52%), フルニトラゼパム(29, 15%), ブロマゼパム(27, 14%), ミダゾラム
(26,13%), フェノバルビタール(20, 10%)の順であった.鎮静薬使用群と不使用群とで療養期間中央値[四分位範囲]はそれぞれ,26[13, 63]日,25[10, 64]日(Adj p=0.79)であった.

【結論】在宅終末期がん患者に対する,臨死期の鎮静薬使用は 24% にみられ,その半数以上はジアゼパムであった.在宅療養期間との関連は認めなかった.

Palliat Care Res 2019; 14(3): 187-92
Key words: 緩和ケア,在宅医療,在宅特化型診療所,鎮静薬,在宅療養期間

ジアゼパムセルシン®️)(n, %:100, 52%),
フルニトラゼパムサイレース®️)(29, 15%)
ブロマゼパムレキソタン®️)(27, 14%),ミダゾラムドルミカム®️)(26,13% )フェノバルビタール(フェノバール®️、ワコビタール®️)(20, 10%)


最後まで聴力は残っている。これから意思疎通が一生できない臨死期の鎮静は家族に大いなる決断と悲しみを迫ります。どうか深い悲しみに沈む事なく過ごされます様祈っております。

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