少量のヒドロモルフォン投与中に神経毒性を
呈した腎機能障害を有する 2 例
鷹津 英1),八木佑加子1),大前 隆仁2),山口 崇1)
1)甲南医療センター 緩和ケア内科,2)市立芦屋病院 緩和ケア内科
本邦では腎不全患者に対してヒドロモルフォンを使用し,神経毒性を呈した報告は多くはない.この度,腎機障害患者に対してヒドロモルフォンを開始または増量したところ,せん妄を呈した症例を 2 例経験した.症例 1 ではがん性疼痛に対してヒドロモルフォン(ナルペイン®)持続注射を 2.4 mg/日から 3.6 mg/日に増量する過程でせん妄が出現した.減量後,せん妄は改善した.
症例 2 では咳嗽・呼吸困難に対してヒドロモルフォン(ナルサス®) 2 mg/日の内服を開始したところせん妄が出現し,中止後改善した.それぞれヒドロモルフォンによりがん性疼痛や咳嗽・呼吸困難は改善されていたが,有害事象によりヒドロモルフォンの継続が困難なため,オピオイドスイッチングを要した.腎不全患者に高用量,長期間のヒドロモルフォンを使用することで神経毒性を呈する報告はあるが少量・短期間の投与でも神経毒性を呈することを経験した.
Palliat Care Res 2021; 16(3): 267-70
Key words: ヒドロモルフォン,腎機能障害,神経毒性,せん妄,悪性腫瘍
せん妄も程度にもよりますが神経毒性と言い切っていいものかとも思いますが、腎機能障害で少量のヒドロモルフォンでせん妄が発現した症例報告です。
以上です ぴのこ拝