肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

集学的介入により高用量の強オピオイドから 離脱し得た乳がんサバイバーの 1 例

集学的介入により高用量の強オピオイドから離脱し得た乳がんサバイバーの 1 例


別府 曜子 1,2,田村 純子 1,2,吉野 葵 1,3,中尾真一郎 1,4,
中島 陽 1,5,森  梓 2
,植松 弘進 2
1
市立池田病院 緩和チーム,2
市立池田病院 麻酔科,3
市立池田病院 看護部,4
市立池田病院 総合内科, 5

【背景】近年がんの罹病期間が長くなっており,がんサバイバーの慢性疼痛治療において漫然とオピオイドを
投与することの危険が報告されているが,オピオイド長期投与の減量や中止に対する明確な指針はない.今回,乳がん骨転移に伴う腰痛に対して強オピオイドを投与開始し,がんの治癒後も非がん性疼痛に対して強オピオイドが継続投与され,集学的介入を行うことで離脱し得た症例を経験した.

【症例】64 歳の女性.乳がん腰椎転移のがん性疼痛に対し強オピオイドを投与開始した.放射線根治照射後も持続する腰下肢痛に対して長期に渡って継続投与されていた.緩和ケアチーム介入と神経ブロックを併用することにより,投与開始 4 年6 カ月後に強オピオイドから離脱し得た.

【結論】がんサバイバーの慢性疼痛管理において患者と家族への教育を基本としたチーム医療,専門医による神経ブロック等を含む集学的介入が重要である.

Palliat Care Res 2026; 21(1): 75–79
#がんサバイバー,#オピオイド系鎮痛薬,#薬物投与量漸減,#チーム医療,#神経ブロック
市立池田病院 精神科

がんサバイバーとは,がん診断時から終末期のすべての段階にある人と定義される 。近年,がんの早期診断・がん治療の進歩などによりがんサバイバーが増えており,がん治癒後も慢性的に痛みを訴えるがんサバイバーの割合は全体の 40% に及ぶとする報告もある
本症例では,①患者と家族への教育を基本としたチーム介入と,② PRF を用いた神経ブロックを並行して集学的に行うことではじめて強オピオイドの減量を行うことができた.集学的治療に関してはがんサバイバーの疼痛管理においてその重要性が強調されてい
る 。

健康状態がよい時期から行う「人生会議」を勧めるワークショップの取り組みと評価

健康状態がよい時期から行う「人生会議」を勧めるワークショップの取り組みと評価


辻川 真弓 1 犬丸 杏里 2 中村喜美子 1 船尾 浩貴 2 玉木 朋子 3 武田 佳子 4 坂口 美和 2
1鈴鹿医療科学大学 看護学部,2三重大学大学院 医学系研究科 看護学専攻,3滋賀医科大学 医学部看護学科,4三重
大学医学部 医学・看護学教育センター


目的:健康状態がよい時期に行う Advance Care Planning(ACP)を推奨する Work shop(WS)が,「人生
会議」を動機づけるかを明らかにする.

方法:民生委員 171 名を対象に 2 回の WS を開催し,前後で 4 回(T1~T4)質問紙調査を行った.主要評価項目は「人生会議」実施率,副次的評価項目は ACP の準備状態を測定する ACP Engagement Survey 日本語版 Japanese version of Advance Care Planning Engagement Survey(ACPES-J)および死生観尺度とし,介入前後(T1vsT4)で比較した.

結果:分析対象は 149 名,実施率は38.3% であり,介入前の 6% に比べ有意に上昇した(p<.001, w=.54).ACPES-J の自己効力感,*レディネス,Total は有意に上昇したが(p<.001~.031, d=.29~.67),死生観は有意な変化を認めなかった.

結論:WS は「人生会議」を動機づけることが示唆された.

Palliat Care Res 2025; 20(2): 111–118
Key words: #アドバンス・ケア・プランニング,#高齢者,#動機付け,#介入研究
*レディネス学習のために必要な準備を整えること

健康状態のよい時期に行う ACP で重要なことは,事前指示書作成ではなく,「人生の最終段階をどう過ごしたいか」を自身で考え,家族等とその理由を含めて話し合うことである

がん患者の突出痛のコントロールに関する 看護師の認識—病棟・外来・緩和ケア病棟の 所属別による比較—

がん患者の突出痛のコントロールに関する看護師の認識—病棟・外来・緩和ケア病棟の所属別による比較—


吉澤 龍太 1神里みどり 2
公立大学法人名桜大学 人間健康学部看護学科1
公立大学法人 沖縄県立看護大学

【目的】看護師の突出痛に関する認識を所属別に明らかにした.
【方法】沖縄県内 11 施設の看護師を対象にがん患者の突出痛に関する認識について自記式質問紙調査を実施し一般病棟,外来,緩和ケア病棟の所属別による比較を行った.
【結果】448 人から回答が得られた(回収率 51.6%).突出痛はコントロールされていると思うと回答したのは緩和ケア病棟看護師 78.9%,一般病棟看護師 62.6%,外来看護師 34.8% と有意差があった(p<.001).突出痛をもつがん患者との関わりの頻度は緩和ケア病棟看護師が高く,一般病棟と外来の看護師は関わりの頻度が低く,突出痛コントロール認識への影響が考えられた
.【結論】突出痛に関するコントロールの認識は所属別で異なっており,がん患者との関わる頻度と看護師の経験年数が影響していることが考えられた.今後,突出痛のマネジメントについて所属別による看護師の背景を考慮した教育体制の充実が望まれる.
Palliat Care Res 2025; 20(4): 223–232

がんに罹患してからの初期の緩和医療が唱えられて久しい。突出痛へのマネジメントは看護師の所属に関わらない教育体制の充実が必要である。

# 突出痛 #疼痛管理,#外来,#入院,#緩和ケア病棟

がん治療後高齢乳がんサバイバーの患者会に 対する認識と長期生存期支援についての一考察

がん治療後高齢乳がんサバイバーの患者会に対する認識と長期生存期支援についての一考察

松田 芳美 1,2,古瀬みどり 3
1やまがた健康推進機構 山形県がん総合相談支援センター,2
山形大学大学院 医学系研究科 看護学専攻 博士後期課
程,3山形大学医学部 看護学

【目的】がん治療後の高齢乳がんサバイバーが,がん患者会を長期生存期の支援としてどのように認識しているかを明らかにする.  【方法】がん治療後高齢乳がんサバイバー 6 名に,患者会から得られたと感じる支援や患者会への思いを半構造的面接法で尋ねた.  【結果】がん治療後の高齢乳がんサバイバーは患者会に対して,[患者会はがん治療後の悩みを共有できがんとの共生に役立つ][患者会継続で遭遇する仲間の再発転移や死を自分と重ね思案する][長期にわたり患者会へ参加する中で自身の状況が変化し継続困難と感じる]と認識していることが明らかになった.                                           【考察】がん治療後の高齢乳がんサバイバーにとって患者会は重要な資源であり,長期生存期の支援では,継続参加できる患者会のあり方の検討と,地域医療福祉機関と連携できる体制の必要性が示唆された.
Palliat Care Res 2024; 19(4): 257–262

子どもに病名を伝えるか否かに悩む乳がん患者 を支援する看護師が体験した困難


子どもに病名を伝えるか否かに悩む乳がん患者を支援する看護師が体験した困難
瀧澤 理穂 1 牧野 智恵 2
1石川県立看護大学 成人・老年看護学講座,2石川県立看護大学 名誉教授


本研究の目的は,子どもに病名を伝えるか否かに悩む乳がん患者を支援する看護師が体験した困難を明らかにすることである.
看護師 7 名と面談を行い,質的記述的に分析を行った.その結果,
患者を支援する時間が十分にもてない」,
医療者間での連携が不十分で継続的に関われない」,
患者の精神的負担に配慮すると,子どもへの病状説明に関する話題に触れられない」
子どもに病名を伝えないことで最期に生じる親子関係や子どもへの影響を危惧するも,どうすることもできない

の四つのカテゴリーが抽出された.

看護師は患者が子どもに病名を伝えていないことで今後生じる問題を危惧していたが,その話題に触れる勇気が持てず苦慮していたことがわかった.このような状況にある看護師へのサポートとして,患者が何に悩み,どうしていきたいと思っているのかを把握し,さらに医療者間で患者情報の共有を図れるように連携する重要性が示唆された.
Palliat Care Res 2025; 20(2): 129–136
Key words: #乳癌,#病名告知,#親子関係,#看護ケア,#質的研究

 乳がん患者は比較的若く、幼い子供たちに自分の病状を説明するのに困難を伴うが、病状説明を支持する看護師にも、医療者間で患者情報の共有を図る等サポートが必要である

がん化学療法が患者家族の QOL へ与える影響 —Caregiver-reported outcome による調査

がん化学療法が患者家族の QOL へ与える影響
—Caregiver-reported outcome による調査


竹内 信道 1,2,黒澤 彩子 1,2,小池久美子 1
,吉田 園美 2
1伊那中央病院 包括的がん治療センター 腫瘍内科,
2伊那中央病院 包括的がん治療センター 緩和ケアチーム


背景:がん患者の家族は,患者の介護,通院の支援,社会的活動の補助など身体的,精神的,経済的負担がか
かっているにもかかわらず,その生活の質(quality of life: QOL)に関する研究は進んでいない.
目的:がん化学療法を受ける患者の家族の QOL を測定し患者の治療経過との関連性について検討する.
方法:2016–2024年に当科で化学療法を施行した切除不能・再発固形がん症例の 1 次治療前と 2 次治療前の EORTC-QLQ-C30を用いて測定した患者と家族の QOL を治療の期間および治療効果を後方視的に比較検討した.
結果:45 例が抽出され,家族は治療前後とも倦怠感,仏痛,睡眠障害,経済的困難感を多くが訴えており,情緒機能と認知機能が患者と同等に低下していて,その後も回復がなく治療早期では社会機能が低下していた.治療効果は家
族の QOL に影響がなかった.
考察:自己記入式調査票によるがん患者の家族の QOL 調査により,一貫した家族の精神的支援と,治療早期の社会的支援の必要性が判明した.

Palliat Care Res 2025; 20(1): 49–55
Key words: caregiver-reported outcome,がん患者家族の QOL,家族支援,EORTC-QLQ-C30

緩和ケアの専門家が不在の施設に所属する医師が抱くがん患者への緩和ケア提供上の困難


緩和ケアの専門家が不在の施設に所属する医師が抱くがん患者への緩和ケア提供上の困難

太田 有咲 1,青木 美和 1,山本 瀬奈 1,高尾 鮎美 2,田村 沙織 1,木澤 義之 3,荒尾 晴惠 1
1大阪大学大学院 医学系研究科保健学専攻,2
大阪公立大学 看護学部,3筑波大学 医学医療系緩和医療
【目的】本研究の目的は,緩和ケアの専門家が不在の施設に所属する医師が抱くがん患者への緩和ケア提供上の困難を明らかにすることである.【方法】A 県内にある日本緩和医療学会認定医,専門医等の緩和ケアの専門家が不在の施設に所属するがん医療に携わる医師 11 名を対象に半構成的面接を実施し,内容分析を行った.【結果】対象者は,がん患者の症状に対する迅速な対応を求められるが,周辺に相談可能な施設がなく《地域連携における困難》があるなか,専門家や自施設の医療者に相談できず《緩和ケアに係る相談における困難》を抱いていた.また,がん患者が持つ複雑性の高い症状への《症状緩和における困難》を経験していた.背景には,多忙さなどの《医師個人の緩和ケア提供の基盤における困難》があった.【結論』迅速な症状緩和が必要な場合や複雑性の高い症状へ対応するために,専門家の継続的な外部コンサルテーション体制構築の必要性が示唆された.
Palliat Care Res 2024; 19(4): 307–316
Key words: #緩和ケア,#コンサルテーション,#医師,#困難,#地域医療
#