肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

健康状態がよい時期から行う「人生会議」を勧めるワークショップの取り組みと評価

健康状態がよい時期から行う「人生会議」を勧めるワークショップの取り組みと評価


辻川 真弓 1 犬丸 杏里 2 中村喜美子 1 船尾 浩貴 2 玉木 朋子 3 武田 佳子 4 坂口 美和 2
1鈴鹿医療科学大学 看護学部,2三重大学大学院 医学系研究科 看護学専攻,3滋賀医科大学 医学部看護学科,4三重
大学医学部 医学・看護学教育センター


目的:健康状態がよい時期に行う Advance Care Planning(ACP)を推奨する Work shop(WS)が,「人生
会議」を動機づけるかを明らかにする.

方法:民生委員 171 名を対象に 2 回の WS を開催し,前後で 4 回(T1~T4)質問紙調査を行った.主要評価項目は「人生会議」実施率,副次的評価項目は ACP の準備状態を測定する ACP Engagement Survey 日本語版 Japanese version of Advance Care Planning Engagement Survey(ACPES-J)および死生観尺度とし,介入前後(T1vsT4)で比較した.

結果:分析対象は 149 名,実施率は38.3% であり,介入前の 6% に比べ有意に上昇した(p<.001, w=.54).ACPES-J の自己効力感,*レディネス,Total は有意に上昇したが(p<.001~.031, d=.29~.67),死生観は有意な変化を認めなかった.

結論:WS は「人生会議」を動機づけることが示唆された.

Palliat Care Res 2025; 20(2): 111–118
Key words: #アドバンス・ケア・プランニング,#高齢者,#動機付け,#介入研究
*レディネス学習のために必要な準備を整えること

健康状態のよい時期に行う ACP で重要なことは,事前指示書作成ではなく,「人生の最終段階をどう過ごしたいか」を自身で考え,家族等とその理由を含めて話し合うことである

がん患者の突出痛のコントロールに関する 看護師の認識—病棟・外来・緩和ケア病棟の 所属別による比較—

がん患者の突出痛のコントロールに関する看護師の認識—病棟・外来・緩和ケア病棟の所属別による比較—


吉澤 龍太 1神里みどり 2
公立大学法人名桜大学 人間健康学部看護学科1
公立大学法人 沖縄県立看護大学

【目的】看護師の突出痛に関する認識を所属別に明らかにした.
【方法】沖縄県内 11 施設の看護師を対象にがん患者の突出痛に関する認識について自記式質問紙調査を実施し一般病棟,外来,緩和ケア病棟の所属別による比較を行った.
【結果】448 人から回答が得られた(回収率 51.6%).突出痛はコントロールされていると思うと回答したのは緩和ケア病棟看護師 78.9%,一般病棟看護師 62.6%,外来看護師 34.8% と有意差があった(p<.001).突出痛をもつがん患者との関わりの頻度は緩和ケア病棟看護師が高く,一般病棟と外来の看護師は関わりの頻度が低く,突出痛コントロール認識への影響が考えられた
.【結論】突出痛に関するコントロールの認識は所属別で異なっており,がん患者との関わる頻度と看護師の経験年数が影響していることが考えられた.今後,突出痛のマネジメントについて所属別による看護師の背景を考慮した教育体制の充実が望まれる.
Palliat Care Res 2025; 20(4): 223–232

がんに罹患してからの初期の緩和医療が唱えられて久しい。突出痛へのマネジメントは看護師の所属に関わらない教育体制の充実が必要である。

# 突出痛 #疼痛管理,#外来,#入院,#緩和ケア病棟

がん治療後高齢乳がんサバイバーの患者会に 対する認識と長期生存期支援についての一考察

がん治療後高齢乳がんサバイバーの患者会に対する認識と長期生存期支援についての一考察

松田 芳美 1,2,古瀬みどり 3
1やまがた健康推進機構 山形県がん総合相談支援センター,2
山形大学大学院 医学系研究科 看護学専攻 博士後期課
程,3山形大学医学部 看護学

【目的】がん治療後の高齢乳がんサバイバーが,がん患者会を長期生存期の支援としてどのように認識しているかを明らかにする.  【方法】がん治療後高齢乳がんサバイバー 6 名に,患者会から得られたと感じる支援や患者会への思いを半構造的面接法で尋ねた.  【結果】がん治療後の高齢乳がんサバイバーは患者会に対して,[患者会はがん治療後の悩みを共有できがんとの共生に役立つ][患者会継続で遭遇する仲間の再発転移や死を自分と重ね思案する][長期にわたり患者会へ参加する中で自身の状況が変化し継続困難と感じる]と認識していることが明らかになった.                                           【考察】がん治療後の高齢乳がんサバイバーにとって患者会は重要な資源であり,長期生存期の支援では,継続参加できる患者会のあり方の検討と,地域医療福祉機関と連携できる体制の必要性が示唆された.
Palliat Care Res 2024; 19(4): 257–262

子どもに病名を伝えるか否かに悩む乳がん患者 を支援する看護師が体験した困難


子どもに病名を伝えるか否かに悩む乳がん患者を支援する看護師が体験した困難
瀧澤 理穂 1 牧野 智恵 2
1石川県立看護大学 成人・老年看護学講座,2石川県立看護大学 名誉教授


本研究の目的は,子どもに病名を伝えるか否かに悩む乳がん患者を支援する看護師が体験した困難を明らかにすることである.
看護師 7 名と面談を行い,質的記述的に分析を行った.その結果,
患者を支援する時間が十分にもてない」,
医療者間での連携が不十分で継続的に関われない」,
患者の精神的負担に配慮すると,子どもへの病状説明に関する話題に触れられない」
子どもに病名を伝えないことで最期に生じる親子関係や子どもへの影響を危惧するも,どうすることもできない

の四つのカテゴリーが抽出された.

看護師は患者が子どもに病名を伝えていないことで今後生じる問題を危惧していたが,その話題に触れる勇気が持てず苦慮していたことがわかった.このような状況にある看護師へのサポートとして,患者が何に悩み,どうしていきたいと思っているのかを把握し,さらに医療者間で患者情報の共有を図れるように連携する重要性が示唆された.
Palliat Care Res 2025; 20(2): 129–136
Key words: #乳癌,#病名告知,#親子関係,#看護ケア,#質的研究

 乳がん患者は比較的若く、幼い子供たちに自分の病状を説明するのに困難を伴うが、病状説明を支持する看護師にも、医療者間で患者情報の共有を図る等サポートが必要である

がん化学療法が患者家族の QOL へ与える影響 —Caregiver-reported outcome による調査

がん化学療法が患者家族の QOL へ与える影響
—Caregiver-reported outcome による調査


竹内 信道 1,2,黒澤 彩子 1,2,小池久美子 1
,吉田 園美 2
1伊那中央病院 包括的がん治療センター 腫瘍内科,
2伊那中央病院 包括的がん治療センター 緩和ケアチーム


背景:がん患者の家族は,患者の介護,通院の支援,社会的活動の補助など身体的,精神的,経済的負担がか
かっているにもかかわらず,その生活の質(quality of life: QOL)に関する研究は進んでいない.
目的:がん化学療法を受ける患者の家族の QOL を測定し患者の治療経過との関連性について検討する.
方法:2016–2024年に当科で化学療法を施行した切除不能・再発固形がん症例の 1 次治療前と 2 次治療前の EORTC-QLQ-C30を用いて測定した患者と家族の QOL を治療の期間および治療効果を後方視的に比較検討した.
結果:45 例が抽出され,家族は治療前後とも倦怠感,仏痛,睡眠障害,経済的困難感を多くが訴えており,情緒機能と認知機能が患者と同等に低下していて,その後も回復がなく治療早期では社会機能が低下していた.治療効果は家
族の QOL に影響がなかった.
考察:自己記入式調査票によるがん患者の家族の QOL 調査により,一貫した家族の精神的支援と,治療早期の社会的支援の必要性が判明した.

Palliat Care Res 2025; 20(1): 49–55
Key words: caregiver-reported outcome,がん患者家族の QOL,家族支援,EORTC-QLQ-C30

緩和ケアの専門家が不在の施設に所属する医師が抱くがん患者への緩和ケア提供上の困難


緩和ケアの専門家が不在の施設に所属する医師が抱くがん患者への緩和ケア提供上の困難

太田 有咲 1,青木 美和 1,山本 瀬奈 1,高尾 鮎美 2,田村 沙織 1,木澤 義之 3,荒尾 晴惠 1
1大阪大学大学院 医学系研究科保健学専攻,2
大阪公立大学 看護学部,3筑波大学 医学医療系緩和医療
【目的】本研究の目的は,緩和ケアの専門家が不在の施設に所属する医師が抱くがん患者への緩和ケア提供上の困難を明らかにすることである.【方法】A 県内にある日本緩和医療学会認定医,専門医等の緩和ケアの専門家が不在の施設に所属するがん医療に携わる医師 11 名を対象に半構成的面接を実施し,内容分析を行った.【結果】対象者は,がん患者の症状に対する迅速な対応を求められるが,周辺に相談可能な施設がなく《地域連携における困難》があるなか,専門家や自施設の医療者に相談できず《緩和ケアに係る相談における困難》を抱いていた.また,がん患者が持つ複雑性の高い症状への《症状緩和における困難》を経験していた.背景には,多忙さなどの《医師個人の緩和ケア提供の基盤における困難》があった.【結論』迅速な症状緩和が必要な場合や複雑性の高い症状へ対応するために,専門家の継続的な外部コンサルテーション体制構築の必要性が示唆された.
Palliat Care Res 2024; 19(4): 307–316
Key words: #緩和ケア,#コンサルテーション,#医師,#困難,#地域医療
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スピリチュアルケアのエッセンスを学校に届ける「折れない心を育てるいのちの授業プロジェクト」:コンパッション・コミュニティの実現に向けて 小澤 竹俊 , 千田 恵子, 久保田 千代美, 濱田 努

今回は一般社団法人エンドオブライフ・ケア のいのちの授業プロジェクトについての報告です

抄録
ホスピス・緩和ケアで培われたスピリチュアルケアの本質を,子どもたちに伝えることを目的に,「折れない心を育てるいのちの授業プロジェクト(OKプロジェクト)」を2018年より開始した.教材開発,講師養成を行い,授業を行った.2023年9月までに,認定講師は189人となり,いのちの授業は,延べ720回(小学校202, 中学校88, 高校25, 大学・専門学校78, その他327),参加者53,360人の実績であった.授業後の感想(自由記載)から,自己肯定が強まり,他者への思いやりが生まれる内容が多く寄せられた.認定講師向けのフォローアップとして,認定講師同士の学び合う場を定期的にオンラインで開催し,プレゼンテーションの練習,フィードバックできる環境を整えた.折れない心を育てるいのちの授業は,解決が難しい苦しみを抱えた子どもが穏やかさを取り戻し,コンパッション・コミュニティの実現に近づける可能性がある.
引用文献 (14)
1) 文部科学省.生徒指導提要.https://www.mext.go.jp/content/20230220-mxt_jidou01-000024699-201-1.pdf(2023年9月24日アクセス).

2) 厚生労働省.心もメンテしよう~若者を支えるメンタルヘルスサイト~.https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/index.html(2023年9月24日アクセス).

3) 厚生労働省.令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況.https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/geppo/nengai22/dl/gaikyouR4.pdf(2023年9月20日アクセス).

4) 文部科学省.令和3年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について.https://www.mext.go.jp/content/20221021-mxt_jidou02-100002753_1.pdf(2023年9月24日アクセス).

5) アラン・ケレハー.コンパッション都市:公衆衛生と終末期ケアの融合.竹之内裕文,堀田聰子 監訳.慶應義塾大学出版会,東京,2022; 69–107.

6) 一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会,エンドオブライフ・ケア援助者養成基礎講座.https://elcsupporter.hp.peraichi.com/(2023年9月16日アクセス).

7) 一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会.折れない心を育てるいのちの授業プロジェクト.https://okproject.hp.peraichi.com/(2023年9月20日アクセス).

8) 小澤竹俊.折れない心を育てる いのちの授業.KADOKAWA,東京,2019.

9) 一般社団法人エンドオブライフ・ケア協会.【ELC・ワーカーズコープの提携】地域で暮らす一人ひとりの尊厳を守り,支え合う地域づくりのための提携・協定書・調印式.https://endoflifecare.or.jp/posts/show/9248/(2023年9月23日アクセス).

10) 近藤卓,望月美紗子,山田由美子,他.中学校におけるいのちの授業の実践的研究—基本的自尊感情の育成に着目した効果測定から—山陽論叢 2016; 22: 63–70.

11) アルフォンス デーケン.死を教える(〈叢書〉死への準備教育).メヂカルフレンド社,東京,2000.

12) 藤本智咲子,竹鼻ゆかり.養護教諭による「いのちの教育」の現状と満足度を高める影響要因.日健相談活動会誌 2012; 7: 40–51.

13) 松井弘美,工藤里香,村田美代子,他.助産師が実践するいのちの教育からの児童生徒の学び.日助産会誌 2021; 35: 196–208.

14) いのちをバトンタッチする会.いのちの授業 鈴木中人 公式サイト.https://inochi-baton.com/koen/welfare/(2023年9月20日アクセス).