肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

終末期がん患者の予後が がん治療医の予後予測よりも短い要因について

終末期がん患者の予後が がん治療医の予後予測よりも短い要因について

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大場 洋子1),田中 輝明1),佐藤 雅子1),横田  勲2),瀧川千鶴子1)
1)KKR 札幌医療センター 緩和ケア科,2)北海道大学大学院医学研究院 医学統計学教室

【目的】終末期がん患者の生存期間ががん治療医の経験に基づく予後予測よりも短い患者側の要因,および死亡までの経過との関連を検討する.


【方法】KKR 札幌医療センター緩和ケア病棟に予後 1〜3 カ月として紹介され,その後 3
カ月以内に死亡退院した終末期がん患者を対象に,後方視的検討を行った.

【結果】対象患者 249 例のうち,実際の
生存期間が 1 カ月未満であった患者は 102 例(OS1, 41%),1 カ月以上 3 カ月以内の患者は 147 例(OS1–3, 59%)であった.
Japan Coma Scale II 以上の意識障害,経口摂取量数口以下を呈する患者が OS1–3 に比べ OS1 で有意に多かった.2 日以内で死に至る急な容態変化による死亡は OS1 で有意に多かった.

【結論】上記要因を持つ患者の生存期間は予測予後より短い可能性があるが,予後の不正確性に与える医師側の要因を検討する必要がある.

Palliat Care Res 2021; 16(4): 307-14
Key words: 終末期がん,緩和ケア,がん治療医,医師の予後予測

結論

予後 3 カ月以内の終末期がん患者において,がん治療医の経験に基づく予後予測が不正確となり、実際の,予後が1ヶ月未満と短い頻度は41%と高かった。その患者側の要因として意識レベルや経口摂取量といった全身状態が見のがされている可能性があるが、今後、医師側の要因について検討が必要である。また、急変で死亡することが予測の不正確さに関連してるかどうかについても、前向き研究による検討が必要である。

緩和医療16巻4号 pp.307-314より

 緩和医療でカバーされた末期癌患者の死は突然やってきます。昨日まで元気にメールしていたのに、昨日まで電話の声も大きかったのに。急変に戸惑う家族も多い事と思います。1日、1日を家族と共にエネルギッシュに過ごされた方に多いとも思います。どうか家族の方が大切な人を失った深い悲しみの中から、立ち上がれます様に。大好きだった精一杯尽くした亡き家族がかって愛した人たちに抱かれています様に。

ぴのこ拝

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