肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

終末期がん患者のせん妄に対する アセナピン(シクレスト®)舌下錠の使用調査

終末期がん患者のせん妄に対するアセナピン(シクレスト®)舌下錠の使用調査
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仲野 宏紀1,2),明石 直子2),和田 知未3),井出 恭子4),井上 敦介1),
宮部 貴識1),山内 一恭1)
1)独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 薬剤部,
2)独立行政法人国立病院機構 姫路医療センター 薬剤部,
3)大阪鉄道病院 緩和ケア内科,4)独立行政法人国立病院機構 大阪医療センター 看護部

せん妄は終末期がん患者の 30〜40%に合併し,死亡直前は患者の 90% がせん妄状態にあるとされるが,治療抵抗性で,嚥下困難や静脈確保困難により薬物投与経路が制限される場合も多い.今回,終末期がん患者のせん妄に対しアセナピン舌下錠の使用を経験したので報告する.緩和ケアチームが介入し,アセナピン舌下錠を投与した患者 6 名を対象とした.アセナピンは,せん妄による不穏に対し,他の抗神病薬が無効あるいは使用できないために選択され,明らかな有害事象なく一定の鎮静効果を認めた.例が嚥下あるいは呼吸機能障害のために,制御困難な呼吸困難や窒息感を合併していた.アセナピン舌下錠は,内服や静脈確保困難な終末期せん妄患者において,せん妄による不穏制御の選択肢の一つになりうると考える.
Palliat Care Res 2021; 16(3): 261-65
Key words: アセナピン,せん妄,終末期がん患者
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