化学療法に伴う貧血は、治療レジメンや状態によって出現時間や重症度が異なります。赤血球の寿命は約120日と長いため、貧血は数週~数か月でゆっくりと発現することが特徴です。
軽度の貧血では症状は必ずしも発現せず、慢性の貧血は徐々に進行するため、自覚症状がない場合があります。血液データを確認し、把握することが大切です。また具体的な症状を知り、貧血による身体の変化を自覚できるようにします。
貧血に対しては日常生活での危険予防や疲労を最小限にします。化学療法時の貧血への治療法は赤血球濃厚液輸血があります。
貧血の重症度評価(NCI-CTCAE)
Grade 1 | ヘモグロビン<基準範囲下限~10.0g/dL |
Grade 2 | ヘモグロビン<10.0~8.0g/dL |
Grade 3 | ヘモグロビン<8.0g/dL:輸血を要する |
Grade 4 | 生命を脅かす;緊急措置を要する |
軽度
<症状>ときどきふらっとする。階段や坂道で息切れや動悸がする
<対応>化学療法開始からの期間や治療レジメンから今後の貧血の様子を予測し、検査データを確認しながら化学療法を継続
<セルフケア>転倒予防。食事で鉄分をとる。偏食をしない。初期症状(倦怠感、労作時息切れ、立ち眩み、動悸、眼瞼結膜蒼白、むくみ)の把握
中度
<症状>休みながらでないと階段が上がれない。シャワーの後、目の前が真っ暗になる。少し動いただけで息切れがし、脈が速くなる。
<対応>軽度と同様
<セルフケア>日常生活への影響を確認し、移動するときは手すりをもつなど危険や体への負担を予防する
重度
<症状>疲れがひどくて食事がとれない。便の色が黒い。不正出血がある。
<対応>Hb値と症状に応じて濃厚赤血球輸血を行う。
<セルフケア>化学療法以外の貧血の原因がないか確認
以上です。
YORi-SOUがんナーシング 2018 Vol.8 No.4から抜粋しました。
ぴのこ拝