肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

アドボカシー(advocacy)活動とスティグマ(stigma)

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月刊 糖尿病ライフ さかえ 6月号 関西電力病院副院長 山田祐一郎先生のご寄稿「糖尿病とアドボカシー活動、スティグマ」より
 
今、世界中が想定を超えたコロナ禍の中にいますが、今危惧されていることとして、コロナ患者さんのスティグマ、担当する医療従事者への差別が挙げられます。この災禍を乗り越えるためにも、絶対にあってはならないことです。
 そこで、月刊 糖尿病ライフ さかえ 6月号 関西電力病院副院長 山田祐一郎先生のご寄稿「糖尿病とアドボカシー活動、スティグマ」を紹介したいと思います。『糖尿病』『がん』『新型コロナ』と置き換えていただくこともできるかと思います



「今回は、 スティグマ(stigma)アドボカシー(advocacy)という言葉を紹介します。日常生活ではほとんど使うことのない外来語であり、適切な日本語があれば、それを使った方がいいかもしれませんが、これらの言葉はあえて外来語のまま覚えていただきたいと思います。」



「糖尿病と診断された際には、高血圧症や脂質異常症と診断された時以上に、ショックを受けられた方が多いのではないでしょうか。それは糖尿病という病気が、スティグマを持っているからです。
 スティグマというのは、負の烙印を意味しており、スティグマを受けたものは、様々な不利益を被ることになります。
 糖尿病患者さんは、糖尿病を発症したことや、治療がうまくいかないことを患者さん自身の不摂生のせいなどと世間で判断されます。また、糖尿病があると、さまざまな合併症を引き起こす、寿命が10年短くなるなど、ことさら糖尿病のマイナスイメージを煽るような情報が世の中に溢れています。
 このような糖尿病に対してのマイナスイメージより、糖尿病と診断されることは、スティグマ、負の烙印を押されてしまうことになります。そのため、糖尿病である事を周囲に隠し、結果として適切な治療の機会を損失することで、糖尿病の重症化につながることもしばしばです。」


糖尿病のスティグマ

社会的スティグマ(レッテル) 乖離的スティグマステレオタイプからの逸脱) 自己スティグマ(自尊心の低下)
経験的スティグマ ●生命保険に加入できなかった ●間食を咎められた ●病名や診療科
// ●住宅ローンを断られた インスリンを拒否すると叱責された ●医療者に謝ってしまう
// ●就職できなかった    
// ●寿命が短い
予期的スティグマスティグマへの恐れ) ●糖尿病の事を、上司同僚に言わない ●しぶしぶ注射をしている ●宴会や会合に行くのをやめた
// ●隠れ食いをした


「糖尿病患者さんは他の病気になる、寿命が短いなどの偏見によってローンが組めない、あるいは金利が高いために、マイホームの夢を諦める方がいらっしゃいます。糖尿病患者さんが、糖尿病とともに歩む人生の中でごく普通の生活を送り、幸せな人生をまっとうできることが、糖尿病患者さんに真の幸福を届ける事であろうと私たちは考えています。」

「そこで、19年に、日本糖尿病協会と日本糖尿病学会が連携して、糖尿病の正しい理解を促進する活動を通じて、糖尿病患者さんが安心して社会生活を送り、人生100年時代の日本で生き生きと過ごすことができる社会形成を目指す活動(アドボカシー活動)の展開を開始しました。

アドボカシーとは、弱い立場にある人の権利や利益を擁護して代弁するという意味で、疾患を理由に患者さんが社会的不利益を被る事をなくす取り組みを指しています」


アドボカシー活動の展開

0年目問題提起の年 ➡️ 1〜2年目調べる年・考える年 ➡️ 3年目動く年・変える年

紹介は以上です。



 『糖尿病』を『がん』や『新型コロナ』に置き換えてみて、スティグマは人生をおとしめてしまう、本当に恐ろしい禍のようなものです。一人一人が患者さんの立場を思いやり、正しい知識を持って接するようにならねばなりません。
 Lung Cancer Advocators Academy(LCAA)の第1期修了生となった私ですが、Advocatorsの意味を重く受け止めました。自分に何ができるか 試行錯誤の毎日ですが、少しずつ前に進んで行けたらと思っています。

ぴのこ拝

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