肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

オピオイド誘発性便秘の管理における腹部マッサージの効果

オピオイド誘発性便秘の管理における腹部マッサージの効果
名桜大学 人間健康学部看護学科 成人看護学領域
木村 安貴先生より

f:id:masamiph:20200817132635p:plain

名桜大学 人間健康学部看護学科 成人看護学領域
木村 安貴
Yildirim D, Can G, Köknel Talu G.
The efficacy of abdominal massage in managing opioid-induced constipation.
Eur J Oncol Nurs. 2019 Aug;41:110-119. doi: 10.1016/j.ejon.2019.05.013. Epub 2019 Jun 1.


【目的】
 オピオイド誘発性便秘の管理における腹部マッサージの有効性を明らかにする。
【方法】
 。本研究は2017年2月~2018年1月オピオイド誘発性便秘をきたしている204名の患者を対象に、介入群とントロール群をそれぞれ102名ずつチェックリストを用いてランダムに選定し比較した。介入群は、15分間の腹部マッサージのガイダンスビデオ(Uysal et al, 2012)に従って、腹部マッサージを4週間1日2回食後と夕食後の30分間に実施した。一方、コントロール群は標準治療(?)がなされた。便秘の評価には、排便日記(1)、および、(2)Visual Analog Scale(VAS)を記載してもらい、胃腸機能糞量便の硬さ緊張感、残便感排便回数膨満感)を評価した。
【結果】
 基本的属性、オピオイドの使用量、食習慣および活動習慣において両群に有意差はなかった。コントロール群に比べ介入群は、便の硬さ、緊張)、残便、が有意に低く、排便回数は有意に多かった。さらに、腹部マッサージ実施後は排便回数が13%増加した。

 以上のことから、腹部マッサージを行うと、排便回数が13%増加し、便の硬さや腹部の緊張感、残便感などの便秘症状を緩和し、便秘を改善することが明らかになった。さらに生活の質も改善することが観察され、腹部マッサージはオピオイド誘発性便秘の管理に効果的なアプローチである。
【コメント】
 ランダム化比較試験で腹部マッサージオピオイド誘発性便秘の改善に有効であることを検証した重要な報告である。食物繊維の摂取状況活動習慣などの影響も考慮して分析しているが、下剤の内服状況との比較があるとよりよい症例が集まると考えられる。腹部マッサージオピオイド誘発性便秘の改善だけでなく、さらにピオイド誘発性便秘の予防効果にも期待できるかもしれない



f:id:masamiph:20200817134744j:plain     

 文献にはマッサージの方法は載っていませんでした。施設の看護師さんや理学療法士さんに聞いてもらってください。


(1)Bristol stool scalef:id:masamiph:20200817144010p:plain
 (2)f:id:masamiph:20200817144359p:plain



たかが便秘・されど便秘、姉(主に下痢)、私の患者会の初めてのComradeの方も便秘で苦しんでおられました。その方にはよく、「勉強している」と褒めていただきました。大切なComradeの皆様のお役に立ちますように