オピオイド誘発性便秘の管理における腹部マッサージの効果
名桜大学 人間健康学部看護学科 成人看護学領域
木村 安貴先生より
名桜大学 人間健康学部看護学科 成人看護学領域
木村 安貴
Yildirim D, Can G, Köknel Talu G.
The efficacy of abdominal massage in managing opioid-induced constipation.
Eur J Oncol Nurs. 2019 Aug;41:110-119. doi: 10.1016/j.ejon.2019.05.013. Epub 2019 Jun 1.
【目的】
オピオイド誘発性便秘の管理における腹部マッサージの有効性を明らかにする。
【方法】
。本研究は2017年2月~2018年1月にオピオイド誘発性便秘をきたしている204名の患者を対象に、介入群とントロール群をそれぞれ102名ずつチェックリストを用いてランダムに選定し比較した。介入群は、15分間の腹部マッサージのガイダンスビデオ(Uysal et al, 2012)に従って、腹部マッサージを4週間、1日2回、朝食後と夕食後の30分間に実施した。一方、コントロール群は標準治療(?)がなされた。便秘の評価には、排便日記、(1)、および、(2)Visual Analog Scale(VAS)を記載してもらい、胃腸機能(糞量、便の硬さ、緊張感、残便感、排便回数、膨満感)を評価した。
【結果】
基本的属性、オピオイドの使用量、食習慣および活動習慣において両群に有意差はなかった。コントロール群に比べ介入群は、便の硬さ、緊張)、残便、が有意に低く、排便回数は有意に多かった。さらに、腹部マッサージ実施後は排便回数が13%増加した。
以上のことから、腹部マッサージを行うと、排便回数が13%増加し、便の硬さや腹部の緊張感、残便感などの便秘症状を緩和し、便秘を改善することが明らかになった。さらに生活の質も改善することが観察され、腹部マッサージはオピオイド誘発性便秘の管理に効果的なアプローチである。
【コメント】
ランダム化比較試験で腹部マッサージがオピオイド誘発性便秘の改善に有効であることを検証した重要な報告である。食物繊維の摂取状況や活動習慣などの影響も考慮して分析しているが、下剤の内服状況との比較があるとよりよい症例が集まると考えられる。腹部マッサージはオピオイド誘発性便秘の改善だけでなく、さらにオピオイド誘発性便秘の予防効果にも期待できるかもしれない。
文献にはマッサージの方法は載っていませんでした。施設の看護師さんや理学療法士さんに聞いてもらってください。
(1)Bristol stool scale
(2)
たかが便秘・されど便秘、姉(主に下痢)、私の患者会の初めてのComradeの方も便秘で苦しんでおられました。その方にはよく、「勉強している」と褒めていただきました。大切なComradeの皆様のお役に立ちますように