肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

緩和ケアチームで疼痛コントロールを行っていた患者が新型コロナウイルス感染症に罹患し死亡した2例

(学会の許可は得ておりますので、症例報告を載せさせていただきます。)
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緩和ケアチームで疼痛コントロール
行っていた患者が新型コロナウイルス
感染症に罹患し死亡した 2 例

山本英一郎,樋口 雅樹,井上裕次郎,青山菜美子,廣橋  猛
公益財団法人ライフ・エクステンション研究所付属永寿総合病院 緩和ケア科

【緒言】新型コロナウイルス感染症の第1波拡大中に, 疼痛コントロール目的に緩和ケアチームで介入していた患者が新型コロナウイルス感染症に罹患し死亡した2例を経験したので報告する.

【症例】疼痛コントロール目的にヒドロモルフォン錠を内服していた造血器腫瘍患者 2 例であった . 両者とも経過中に新型コロナウイルス感染症に罹患したが , 新型コロナウイルス感染症の特徴の一つとされる happy hypoxia と考えられる状態を認めた . 急激な全身状態の悪化を認めながらも呼吸困難感の訴えはなく , 投与経路を含めた薬剤調整を行い症状緩和に努めた .

【考察】緩和ケア診療で関与する患者が新型コロナウイルス感染症に罹患した場合, 基礎疾患を有するため急激な状態悪化を認める可能性があるとともに, 新型コロナウイルス感染症の特徴的な症状に応じたオピオイドタイトレーションが必要となる可能性がある .
Palliat Care Res 2021; 16(2): 191-96
Key words: COVID-19,SARS-CoV-2,オピオイド

happy hypoxia

(幸せな低酸素血症)とは、呼吸症状がそこまで悪くないのに、やたら酸素飽和度が低い状態を表します。苦しくないなので「happy」とついているわけですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)でもそういう事例が目立ったため、一時センセーショナルに取り上げられました。

 しかし、間質性肺疾患をたくさん診ている施設では、今更、という現象でもあります。呼吸器内科領域では、突発性肺繊維症やその他間質性肺疾患の急性増悪時に、呼吸困難がそこまでひどくないのにSpO2が絶望的に低いケースをよく経験します。これもいわゆる happy hypoxiaです。
(日経メディカル 倉原優先生より)

新型コロナの入院患者さんもトイレ歩行がきっかけで重篤になる場合が多いです。
自宅待機の患者さんもパルスオキシメーターの数字と肺機能は必ずしも同位ではないことに注意しましょう。

以上です
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