肺がんになった薬剤師(masami)がゲノム医療・緩和医療を学ぶ

ゲノム医療は、高校生物の知識が必要で難しいですが、ボチボチ学びます。緩和医療とはがん初期からの緩和ケアを含み、緩和ケア=あきらめ、死ではない。が持論です。所属する学会の許可を得ましたので、学んだことをつたないながら記事にして行きたいと思います。

長期がんサバイバーがピアサポート(患者会、NPO法人、がん患者サロン等)活動を続ける意味ー10年以上の活動経験を通してー

今回は緩和医療学会のPalliative Care Research Vol.14No.2 5月公開論文より、記事とさせていただきます。どうして患者会に行くと元気になるのか、その理由がはっきりと理解でき、また私自身もがんサバイバーとして、サポート活動に協働することでより良い「生」に繋がるんだと思いました。

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長期がんサバイバーがピアサポート患者会NPO法人、がん患者サロン等)活動を続ける意味ー10年以上の活動経験を通してー

福井里美、吉田みつ子、守田美奈子、奥原秀盛、遠藤公久
【目的】患者会ピアサポートの活動を継続している長期がんサバイバーは、ピアサポート活動を続ける意味をどのようにとらえているかを明らかにする
【方法】研究参加者は診断後10年以上のがんサバイバーでピアサポート活動に参加している18名である。(*1)半構造化面接を用いて療養経過、患者会等に参加した契機、活動経過と内容、継続する理由等を尋ねた。分析は質的(*2)帰納に分析した。
【結果】サポート活動を長期に継続する意味として、<長期生存者・証言者としての使命><がん体験者の思いを共有する重要性の確信><出会った人が元気になっていくことが生きがいやライフワークになる><医療者とのつながりの継続><ピアサポートと「がん相談」の違いの認識><今後の活動への模索>が見いだされた。
【結論】長期サバイバーが捉えている使命感や生きがい、医療者とのつながりや政策提言をし志向していることを尊重した連携が必要である・
Palliat Care Res 2019;14(2):79-88

** 長期がんサバイバーがピアサポート活動を継続している意味
<長期生存者・証言者としての使命>
・がんで長生きしている自信が希望を与える
・生き残った自分が経験を伝える使命
<がん体験者の思いを共有する重要性の確信>
・がん患者同士だからなんでも話しやすいという確信
・がん患者が何でも話せる場所が大事
<出会った人が元気になっていくことが生きがいやライフワークになる>
・いろいろな人と会える楽しみ
・話を聞いた仲間が元気になる姿を見たり、お礼を言われると自分も元気になる、成長する、支えたい
・感謝と恩返し
・生きがい、生きる意味、ライフワーク
<病院・医療者とのつながりの継続>
・医療者と対等なつながりができる
・受診が減っても病院に来る機会がある
ピアサポートと「がん相談」の違いの認識>
・お互いに生きていくために支え合う存在
・かしこまらない余計なおしゃべりが大事
<今後の活動への模索>
・後継者探し
・地域行政への政策提言➡地域で活動していると、認知症も難病も、介護の人からも声をかけられる。地域の「孤立しない仕組み」に発展させていきたい。


(*1)1半構造化面接・・・一定の質問に従って面接を進めながら,被面接者の状況や回答に応じて面接者が何らかの反応を示したり,質問の表現,順序,内容などを状況に応じて変えることのできる面接法。 構造と若干の自由度を合わせ持つことで,ある方向性を保ちつつ,被面接者の語りに沿って情報を得ることが可能になるという利点がある。

(*2)帰納的・・・さまざまな事実や事例から導き出される傾向をまとめあげて結論につなげる論理的推論方法

以上です。   
よりたくさんのがん患者さんがより良き「生」を得られますように。

ぴのこ拝
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