緩和ケアで働く医療者のストレスマネジメント
月刊薬事2020vol.62 No1 編集 木澤義之より
Key Points
・離職予防や緩和ケアという医療の質を維持するためにも、ストレスを抱えた医療者のストレスマネジメントは必要不可欠である
・個人が処理できるキャパシティを超えた負荷がかかる状態が持続すると、業務のパフォーマンスが低下し、職場で求められる水準で働き続けることができない状態、すなわち不適応が起こる。
・ストレスマネジメントは
①生活リズムを整える
②積極的なコミュニケーション
③適切な意思決定
の3つが柱となり、問題解決的に取り組むことが求められる。
・メンタルヘルス不調となった場合は、医療者であってもメンタルヘルスの専門機関の利用を躊躇する場合があるため、早期の利用が強く勧められる。
はじめに
緩和ケアの領域では、患者の死を直接扱う機会が多く、その際の家族とのコミュニケーションを含めて医療者にとって、精神的な負担やストレスを感じることが多いと考えられる。ストレスを感じた医療者は患者への積極的な関わりを持ちづらくなり、状況がさらに悪化し、患者のみならず医療者のストレスも高まるといった悪循環も起こりやすいと考えられる、そのため、離職予防や緩和ケアという医療の質を維持するためにも、ストレスを抱えた医療者のストレスマネジメントは必要不可欠といえる、
不適応を予防するストレスマネジメントの基本的な考え方
・脳疲労状態に対しては十分な休息と質の良い睡眠を確保する
・キャパシティに対しては認知行動療法などによる認知・行動能力のトレーニングによる能力の向上を図る
・職場と生活におけるストレッサーに対しては環境調整をおこなうなどの予防策を企てていくこと。
** ストレスマネジメントの具体的方法
1.生活リズムを整える
2.積極的なコミュニケーションをとる
3.適切な意思決定を行うこと
意思決定においてはメリットとデメリットについて思い当たるものを書き出し、それを比較して最終的に自分の利益が大きくなるものを選択する必要がある